
シンガポール基盤のVeredus Laboratories(積水化学の100%子会社)が3種のコロナウィルス(MERS-CoV、SARS-CoV、2019-nCoV)が検出できるキットを近日発売予定です。
世界初の2019-nCoV検査キット
Singapore, January 24, 2020 – Veredus Laboratories Pte Ltd “Veredus”, a leading provider of innovative molecular diagnostic solutions, announced today the development of VereCoV detection kit, a portable Lab-on-Chip application capable of detecting the Middle-East Respiratory Syndrome Coronavirus (MERS-CoV), Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus (SARS-CoV) and 2019 Novel Coronavirus (2019-nCoV) i.e. Wuhan Coronavirus, in a single test.
http://vereduslabs.com/wordpress/wp-content/uploads/2020/01/VereCoV-Press-Release-Final.pdf
この検査キットが世界で初めて発売される新型肺炎のコロナウイルス(2019-nCoV)の検出が可能なキットです。
そこで気になるのが2019-nCoVは通常のコロナウイルスと何が違うのかということです。
コロナウイルスの種類
ヒトコロナウイルスは現時点で七種類存在していることがわかっています。
その中でも二つのグループに大別され、それぞれの型が分類されます。
通常型ヒトコロナウイルス
- 229E
- NL63
- OC43
- HKU1
これらはいわゆる風邪の原因となるウイルスにあたります。
症状は鼻汁、頭痛、咳、咽頭痛、発熱、全身の不快感などで殆どの人々は生涯のどこかの時点でこれらのウイルス に感染するようです。
その他のヒトコロナウイルス
- MERS-CoV
- SARS-CoV
- 2019-nCoV
こちらは通常型に分類されないヒトコロナウイルスです。
それぞれウイルスの名前に冠している疾患を引き起こしています。
MERS-CoV:中東呼吸器症候群(Middle EastRespiratory Syndrome: MERS)
SARS-CoV:重症急性呼吸器症候群(Severe Acute Respiratory Syndrome: SARS)
現在問題となっている2019-nCoVはこれから疾患名が定められ次第名前が変わるのでしょう。
共通している特徴としては通常型のヒトコロナウイルスよりも重症度の高い呼吸器系の症状を発症することが挙げられます。
上記内容は以下のソースを抜粋したものとなります。
「毒王」と中国で呼ばれる感染力の強い患者の存在など興味深い内容でした。
中国の武漢から始まった新型コロナウイルス(2019 Novel Coronavirus: 2019-nCoV)が世界に拡散している。ここではコロナウイルスおよび感染対策について解説する(1,2)。 コロナウイルスはその表面が王冠のようなスパイクがあることに由来して名付けられた(図表1)。 ラクダや蝙蝠などの様々な動物で日常的にみられるウイルスであり、4つの主要なサブグループ( α 、β 、γ 、δ )が あ る 。ヒ ト に 感 染 す る ヒ ト コ ロ ナ ウ イ ル ス は 1 9 6 0 年 代 半 ば に 最 初 に 同 定 さ れ た 。 現在までに、7種 類のヒトコロナウイルスが同定されており、通常型ヒトコロナウイルスが 4種 類、 それ以外のヒトコロナウイルスが3種類である(図表2)(1)。
https://www.crbard.jp/Japan/media/Japan/General-Site-Images/Home/Images/CDCWatch145.pdf
2019-nCoVはSARS-CoVに近縁
今回の新型コロナウイルスは、遺伝学的にSARS-CoVに近縁であることが報告されています。新型コロナウイルスが従来のコロナウイルスに比べて突然変異を起こしやすいという情報はありません。また、今回のアウトブレイク中に変異を起こしてSARS-CoVに近づいているという証拠も現在のところ報告されていません。ただし、今後、ウイルスの病原性や伝播性が変化する可能性は否定できないことから継続した観察が必要です。
http://www.kankyokansen.org/modules/news/index.php?content_id=328
日本環境感染学会によると今回の新型コロナウイルスはSARSに近縁の種類だそうです。
ということは治療的にはSARS向けの医薬品が有効なのでしょうか?
日本における死亡例は未だないため、中国の死亡例の多さが気になります。
患者数の桁が違うので多いと言えるのかどうかすら現時点ではわかりません。
最前線の中国でどのような治療が行われているのか気になるところです。
コロナウイルスは原則として飛沫感染により伝播します。現時点では空気感染の可能性はきわめて低いと考えられます。したがって、感染対策は標準予防策に加えて飛沫予防策・接触予防策を徹底することが基本となります。
http://www.kankyokansen.org/modules/news/index.php?content_id=328
何度も周知されていますが、空気感染ではないようなので手洗いうがいの徹底を心がけましょう。
検査キットが発売される意義
検査キットが開発された点は非常に喜ばしいことではあります。
現在、日本国内で陰性判定であった患者が陽性になったということが厚生労働省より発表されています。
現在国内で行われている検査と比較してどの程度検査キットの感度が高いのかどうかは実際に使用されるまでわかりません。
検査キットの結果が十分信頼に値するものであれば迅速な患者の特定、及び治療を開始できるため感染拡大の防止につながります。
世界中に供給できる能力があるかが第一の壁ですが、流行の収束への第一歩と信じたいですね。